わたしが愛したアイドルのはなし

横山裕が泣いていた。


自担である横山裕が、泣いていた。



わたしは横山さんの涙をあまり見たことがない。

それはわたしが横山さんを自担と呼ぶようになってから日が浅いからだろうか。


たぶんそれも理由の一つだ。



でもきっと、横山裕をあんな風に泣かせることができるのは、家族とメンバーだけなんだろうなと思う。


ただのファンであるわたしにはどうしたってできないこと。



いつかわたしがこの日のことを思い出したとき、どう思い、どう受け止めたのかを思い出すために文章にして残すことにした。きっと読み返したらぐちゃぐちゃで何が言いたいのか分からないんだろうなと思うけど。




4月15日、あの会見を見て、悲しいと同時に悔しいとも思った。思ってしまった。



横山裕が泣いていて、「今日という日が来ないでほしかった」と言っていた。


いつでも、前向きで、今日できなくても明日できるって自分に言い聞かせてまで未来を見る人が。


そしてテレビで、というよりたぶん人前で泣くことをよしと思っていない人が。



横山さんが泣いているから、村上さんは泣いていなかった。


横山さんが泣いているから、村上さんはあの会見の空気を和ませるように笑わせようとしてくれた。


でも横山さんは一瞬も笑わなかった。



あなたが最初に夫婦と呼んだふたりは、あなたのことを王将と言ったひとは、こんなときだって「ヨコヒナ」だった。


横山さんと村上さんのいちばん近くにいて、いちばん愛されて、大切にされて、それをいちばんあなたが知っているはずなのにどうしてと思ってしまうの。



それを知っているあなたがどうして、ふたりを泣かせているの。



あなたのために泣いているのに。

あなたのことをたくさんの言葉で引き止めようとしてくれているのに。

あなたのことを心から大切に思ってくれているのに。



それでもあなたは、すばるくんの決意は変わらなかったのか。




すばるくんがジャニーズ事務所を退所する。

つまり結果的に、関ジャニ∞を脱退する。





7人ではなくなってしまうということが、悲しくてつらくてさみしくて。


それと同時に自担の言葉がすばるくんには届かなかったのだ、すばるくんの決意を変えられなかったのだ、とだれかに言われた気がして涙が出た。


それだけ渋谷すばるの決意が本気だったってことなのは分かっている。分かっていても涙が止まることはないのだ。





わたしは今まで、恵まれていると言って差し支えないアイドルファンだった。


グループから誰かがいなくなる、という経験をしたことがなかったから。


わたしは関ジャニ∞のほかに、嵐とHey!Say!JUMPを応援している。


嵐はずっと5人で居続けてくれている。(それが当たり前ではないことを奇しくもこの会見の日に改めて知ったけど。)そして、わたしがすきになったときのHey!Say!JUMPは9人で、関ジャニ∞は7人だった。


関ジャニ∞にピンク色があった時代をわたしは知らない。

知らなくていいと思って、すきになった当時特に彼のことを調べなかった。


だから彼がなぜ関ジャニ∞ではなくなったのか、は知っていても

関ジャニ∞にとって関ジャニ∞のファンにとって彼がどういう存在だったのか、は知らない。


わたしが望む関ジャニ∞の姿は、7人そこにいて、楽しそうに笑っていてさえくれれば、それでよかった。それがよかった。


でも、それは叶わなくなってしまった。

はじめて応援しているグループからメンバーがいなくなる、一生経験しなくていいと思っていたことが突然わたしに降りかかってきた。



すばるくんの言う「夢」は関ジャニ∞とそのファンがいる今では、見られないものなのか。

すばるくんがどんな歌を歌っても、嫌いにならない自信があるだけではだめなのだろうか。


きっと、だめなんだろう。



こういうときにメンバーでも仕事仲間でもなく、人生の半分以上を共に過ごしてきた親友として、すばるくんの夢を応援してしまう横山さんと村上さんがわたしはすごくすごくすき。バカみたいに優しいふたりがだいすき。


きっとふたりのこういうところ、すばるくんもだいすきなんだろうなって勝手に思ってる。



だからこそ、なのかな。

甘えたら全力で甘やかしてくれそうだから、退路を絶ったのかな。



関ジャニ∞ってアイドルグループやってます!」って初めての野外フェスで、関ジャニ∞のド真ん中ですばるくんがそう言ってくれたとき、わたしはすばるくんが一生アイドルでいてくれるんだと思ったよ。覚悟の叫びだと思ってた。



一生7人でアイドルの関ジャニ∞



それはとてもとても楽しくて居心地が良くて、しあわせなものだと思う。



でもあなたは、そこでは見れない夢を見つけてしまった。



ずっとすばるくんは音楽の神様を愛した人間なんだと思ってた。


でもたぶん、音楽の神様があなたを愛してしまったんだね。


神様をその声と歌で魅了したあなたが、誇らしくてちょっとだけ憎い。



音楽なんてなければ、でもそんなクソみたいな世界ではあなたは生きられない。



あなたは確実に、歌っていなきゃ死ぬ人間で。

あなたは確実に、どんな世界に生まれたとしても歌と出会う人間だもの。



あなたは歌を選んで、歌もあなたを選ぶの。出会うべくして歌に出会うの。もしも過去に戻れたとして、何度人生をやり直せたとしても、あなたは命がけで歌を歌うんだろう。




渋谷すばるの人生は、歌がなければ始まらない。



一ファンのわたしにさえこんな風に思わせるあなたの音楽の才能と、音楽に対する努力とプライド。



その全てを持って、旅立っていくあなたのことをわたしが嫌いになれたらよかったのかもしれない。



でも悔しいくらいにすきなまま。


関ジャニ∞に籍を置いたまま、自分の夢を追うことを甘えだと言ったすばるくん。逃げ場を自ら捨てたあなたが、ずるいくらいかっこよくみえてしまうのが悔しい。


悔しくて、やっぱりすきだった。




わたしのすきな言葉の一つに「愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思わない。」という言葉がある。


わたしはアイドルについてすきだと主張するとき、いつもこの言葉を胸に置こうと気をつけている。


人をすきだと言うのに、自分は傷付く準備をしていないなんてそんなアンフェアないよね。


って思って、準備をしたつもりでいて、



でもまんまとあなたに傷を付けられた。

二度と消えない傷で、二度と増やしたくない傷。



この傷があり続ける限り、わたしはあなたを忘れてなんかやらないんだ。

しぶとくしつこく粘着質なほどにあなたのこと応援してやろうと思う。




だからね、あなたたちのように、わたしも覚悟を決めようと思う。


6人になった関ジャニ∞渋谷すばるを応援するという覚悟。



まだ6人で歌う姿を想像できないし、歌うすばるくんの周りにあの6人がいないのも想像できない。


それでも決めた。


まだ涙が出る。たくさん泣いている。

「いってらっしゃい」なんてまだ、言えない。言えるわけない。言ってたまるか。


それでも、7人を、6人とひとりになった7人を応援することを覚悟した。



がんばろうね。わたしもがんばります。





最後に


渋谷すばるさんへ



あなたの決意と覚悟を聞いて、

たくさんたくさん泣きました。


それはもうメチャクチャに泣いて、目を腫らしました。



もうあなたのために流す涙は、

あなたが死んだときに流す分くらいしか残っていません。



だから、あなたの音楽を必ず見つけてください。

これからも音楽の神様に愛され続けてください。


わたしが思わず、笑顔になってしまうくらいにすばらしい歌を歌ってください。



それで、生きて生きて、100歳まで生きてしまえばいい。


そしたら36歳なんてまだ全然、人生の半分なんかじゃなかったね、って言ってやるんだから。


こっちはもうあなたがおじいちゃんになった姿を知ってるんだよ。その姿でさえ、すきでいる自信があるんだよ。



あなたのため「だけ」とは言わない。けれど、


関ジャニ∞の音楽は、バンドは、センターにぽっかり空いた空間は、確かにあなたのためのものだったよ。


それだけは忘れないで。そっちのわがまま許すんだから、これくらい望むの許してくれるよね?



見た目で誤解されやすくて、やさしくて繊細で脆く見えて、でも大きな背中のあなたに、溺れるくらいのしあわせが訪れますように。


あなたが乗り越えなければならない壁が、いつか必ずぶつかる壁が、命がけであれば超えていける程度のものでありますように。



ちゃんとすきでした。ジャニーズ事務所所属の関ジャニ∞のアイドルの、渋谷すばるさんがすきでした。



そしてアイドルではなくなるあなたのことも変わらずすきです。


嘘でも嫌いなんて言えないくらい、だいすきです。


2018.4.16